Story
「まちづくり」とは
従来「まちづくり」とは、土地の区画整理や、道路・上下水道の整備などの都市計画等が主で、その担い手は行政が中心でした。高度経済成長期を経て、居住環境をより良くし、地域の魅力や活力を高めていくといったことに市民の関心が高まるにつれ、地域住民主体による地域課題の改善や地域のルール作り等の活動が活発になり、様々なまちづくり団体やNPO法人などがまちづくりに取り組んでいます。
現在、地域住民やまちづくり団体、NPO法人のみならず、民間事業者や行政も連携して、地域の魅力や活力を高めていく「まちづくり」が進められています。
評価が難しい「まちづくり」
住民の交流の場を作るために、カフェの企画や、空き家のリノベーションを行う。夜間の街区での安全確保のためにライトアップを企画する。広場や公園の地域住民による活用計画を立てる……というように、まちづくり活動は多様です。活動内容が多様であるということから、関わる人たちも多様になります。
活動に関わる要素が多ければ多いほど、活動全体を評価することが難しくなります。何をもって成功とするのか、あるいは反省点とするのかなどを定めなければ、新しいまちづくり活動に活かすことができません。
また、まちづくり活動の典型的な課題として、持続の難しさがあります。最初は目に見える成果などから、率先して行えていたことが、時間が経つにつれて、活動が「作業」になってしまい、持続できなくなる。評価方法が定まっていくことで、まちづくり活動のモチベーション維持の方法も見えてくるのではないかと考えられます。
さらに、行政としては、地域住民のまちづくり活動を後押しする立場から、活動ごとの費用対効果や行政の内部的な評価を行っていく必要もあります。
ロジックモデルの活用と評価方法の検討
行政の施策やまちづくり活動の設計を行うに当たって、「ロジックモデル」という考え方を用いることがあります。事業の流れを「インプット」「活動」「アウトプット」「アウトカム」の4つの段階に分け、事業に必要な要素や、期待される成果物を明確にします。
私たちは、まちづくり活動を評価する方法として、このロジックモデルを対象にすることが、ひとつの糸口ではないかと考えています。今回の実証実験では、ロジックモデルを用いて、まちづくり活動を評価する方法の模索を行います。参加企業及び団体には、まちづくり活動についての経験に加えて、ロジックモデルを熟知した方々を求めます。
実証実験では、実際のまちづくり活動に参加いただき、実体のある地域住民の中に入って、ヒアリング調査等を実施していただくことで、説得力のある実験結果を目指します。
モザイク都市、京都
京都市には、豊かな自然、社寺等の歴史的資産、暮らしとなりわいが織りなす街並み、伝統として受け継がれてきた文化など、多様な魅力に溢れています。こういった魅力は、そのまま「まちづくり」の核になります。京都市の「核」は、1箇所に集まっているものではなく、京都市内のそこかしこにモザイクの模様のように存在しています。京都は、特色のある小さなまちの集合体(モザイク都市)として捉えることができ、この点において、京都市は「まちづくりに向いた土地」と言えます。ぜひこの特徴を活かして、もっとまちづくりをしやすい環境を醸成したいと考えています。
まちづくり活動のような、決まった形のない事業の評価方法を模索しているのは京都市だけではありません。そして、京都市には、まちづくりの生きた実例が豊富に存在します。この実例を活用していただける提案をお待ちしております。