Story
“自転車ユーザーを「自転車LOVER」に!”
自転車は身近で暮らしに役立つ乗り物、そして、楽しい!
自転車はCO₂などの排出物を一切出さないクリーンな移動手段であると同時に、体を動かすことから心身の健康づくりにもよい乗り物です。自転車の利用が増えることで、交通混雑の解消にもつながり、住みやすい地域社会を作っていく上でも、重要な役割を果たします。また、屋外で適切な距離を保って移動することは、密を避け、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐことにもつながります。四季折々に豊かな表情の変化を見せる京都の街並みで、景色を見ながら風を切って走ることで、ストレスも軽減されることでしょう。
このように、いいことずくめに見える自転車ですが、社会的にはまだ課題のある乗り物でもあります。
わかりづらい自転車ルール、そして自転車は悪者に
誰でも気軽に乗れる自転車ですが、道路交通法では軽車両に位置付けられており、運転している時には、「車の仲間」です。基本的には車道を走るように定められおり、歩道を走ることができる条件も、厳密に制限されています。普段自転車に乗っている人でも、「車道のどこを走ったらいいのか」「歩道を走ることができる条件はなにか」をしっかりと理解している人のほうが少ないのではないでしょうか。
こういった事情もあって、車道を走ると自動車から、歩道を走ると歩行者から邪魔者扱いされ、結果として、自転車は悪者にされがちです。
京都は、自転車が似合うまち?
京都の街中はコンパクトで平坦であり、自転車に適した地形です。この数年の間に、矢羽根(やばね)マークを主とした、自転車走行環境の整備も進めてきました。
また、数多くの大学・短期大学が集積する「学生のまち」京都において、自転車は、学生や若者にとってなくてはならない移動手段でもあります。
一方で、京都には狭い道も多くあり、走行マナーが悪かったり、ルールを無視した駐輪によって、周りに迷惑をかけてしまうこともあります。自転車は、身近で便利な乗り物だからこそ、人に迷惑をかけることや、最悪の場合、事故の加害者になってしまうこともある……そういったリスクを自覚して、使う必要があります。
大学生・若者に伝わるコンテンツの必要性
京都市では、就学前、小学校、中・高等学校と、世代ごとにさまざまな啓発・教育を行ってきたこともあり、平成16年をピークに自転車事故の数は減少してきました。しかし、依然、市内の大学生の事故の割合が他の年齢層より高い状態です。大学生のなかには他府県から来ている人たちもいて、あらためて大学生に対して、効果のある啓発・教育活動を考える必要があります。
しかし、ある程度大人になった若者に対しては、啓発の効果が上がりにくい側面もあります。必要なのは、「説教じみた啓発」でなく、「内発的な気持ちを起こさせるような仕掛け」なのです。自転車のルールを覚えてもらうコンテンツでなく、自転車に愛着を持つことで、自転車の安全運転につながるようなコンテンツを作って展開していけば、効果を期待できると考えています。
京都では、みんなが安全に自転車に乗る。そういう街にしていきたい!
今回のラボでは、民間業者ならではの視点で、学生に届くコンテンツを開発してもらうことを期待しています。開発のプロセスには、今回の事業のターゲットである学生にも参加してもらいます。学生については、京都市から市内の大学に協力を依頼する予定です。
今回のコンテンツ開発が成功すれば、事業化して継続していきたいと考えています。「学生のまち」京都で、安全に自転車に乗る「自転車LOVER」を増やし、自転車、歩行者、自動車が共生する社会を目指す上で、意義のある一歩になることを期待しています。