募集課題
京都の歴史的町並みや建造物をフックにした文化観光コンテンツの造成
担当課
京都市都市計画局都市景観部景観政策課
採用企業等
株式会社ニッセン

京都市都市計画局都市景観部景観政策課では、京都の歴史的な町並みや建造物を保全し、次世代へ継承することを目的に、様々な取り組みを推進しています。

京都市では、伝統的な祭礼や産業を継承する地区や世界遺産周辺の歴史的町並み、京町家や寺社などの歴史的建造物を指定し、これらの保全に向けた施策を展開しています。しかしながら、歴史的町並みの維持には構成要素となる歴史的建造物を適切に管理する必要があり、そのための多大な保全費用や相続税・修繕費が所有者の負担となっています。その結果、京町家をはじめとする歴史的建造物の滅失が進み、京都の歴史的な町並みが失われつつあります。

歴史的町並みが失われることは、京都の人々が受け継いできた貴重な歴史や文化が失われることになります。そのため京都市でもさまざまな保全施策を講じていますが、持続可能な解決策には至っていない状況でした。

そこで京都市では、国内外に訴求力の高い京都の歴史的町並みや建造物等をフックにした官民連携の収益事業を行い、その収益の一部を保全に充てることで保存と活用の好循環を生み出すことを解決したい課題に設定し、民間企業の技術やアイデアを募集したところ、株式会社ニッセン(所在地:京都市南区、代表取締役社長:羽渕 淳)から下記のような解決策の提案があり、京都市として採用することを決定し、共にプロジェクトに取り組みました。

プロジェクトの概要

目的 京都の歴史的な町並みや建造物を保全し、次世代へ継承すること。
課題 京都の歴史的町並みの構成要素となる歴史的建造物の所有者にとって、管理に必要な保全費用や相続税・修繕費が負担となっている。その結果、京町家をはじめとする歴史的建造物の滅失が進み、京都の歴史的な町並みの消失が懸念される。
解決策 株式会社ニッセンが主催となり、本市が歴史的建造物に指定する京町家にて、お茶席と伝統工芸品制作が楽しめるイベントを実施することで、歴史的建造物や伝統文化が継承される土壌をつくる。
成果 イベント開始前に、京都市から参加者向けて京町家の歴史的背景を説明したことで「京都への興味関心が増えた」との声を多数頂いた。

伝統工芸に関する物販において、目標の1.6倍となる売上金額を達成した。

プロジェクトのタイムライン

R6.1月に株式会社ニッセンと協議開始。R6.7月にオープンラボの採択決定。R6.8月にイベント企画調整。R6.10月にプレスリリース、報道発表、広報周知。R6.11月にイベント開催(2日間)。クリックで拡大表示。

企業が提供した技術やアイデア

京都市が歴史的風致形成建造物に指定する京町家にて、お茶席と伝統工芸品の製作を一度に体験できるイベントを開催。伝統工芸品の制作では、4つの工房の職人による直接指導の下、金継ぎ・竹細工・金彩工芸・蒔絵のワークショップを行った。

  • 担当者4名
  • 連携企業4社の参加
  • 学生ボランティア12名手配
  • SNSコンテンツの提供

イベントの様子。クリックで拡大表示。イベントの様子。クリックで拡大表示。

京都市が提供したサポート

  • 歴史的風致形成建造物の所有者との引き合わせ
  • 報道発表
  • 京都市公式SNSへの掲載
  • 観光関連SNSとの掲載調整
  • 当日対応(職員2名)

民間企業の企画力を活用し、歴史的建造物の継続した維持管理サイクル構築を展望

京都市景観政策課:山田、北牧

株式会社ニッセンとの連携を通じて、京都の歴史的建造物の維持管理に関する課題を周知し、保全の必要性を広く伝える取り組みを実施できました。

イベント開始前には、京都市の担当者から参加者25名に対し、京都市の維持向上すべき7つの歴史的風致とともに、会場となる京町家(歴史的風致形成建造物)の歴史的背景について説明を行いました。この取り組みにより、参加者の歴史的建造物への関心が高まり、その後のイベント内容がより充実したものになったと感じております。結果として、京都への興味関心が増したとの声が多く寄せられました。

また、伝統工芸品の物販においても、目標金額の1.6倍を達成する成果を上げました。さらに、京都市が指定する歴史的建造物を活用したイベントの広報が強化されたことで、建造物の所有者が京都市に維持管理の相談を行う契機となることが期待されます。

今後は、民間事業者の企画力を活かし、京都市内にある歴史的建造物が行政の介入なしでも持続的に維持管理されるサイクルを確立していきます。

歴史的建造物と伝統工芸を融合し、持続可能な価値を創出

株式会社ニッセン:飛知和さん・西島さん・古野さん

飛知和さん・古野さん。クリックで拡大表示。
飛知和さん・古野さん

当社が運営するサステナブルなアパレル・雑貨ブランド「RiFUKURU」では、「ものを大切にする」という理念を商品を通じて発信し続けています。モノづくりの原点とは「伝統的な技術や技法を用いた手工業で作られる伝統工芸」であり、その継承が重要であると考えています。

そのような伝統工芸が後継者不足によって途切れることがないよう、当社では技術と文化の継承を目的に伝統工芸支援を推進しています。具体的な施策として、伝統工芸ワークショップの主催や伝統工芸品の販売を行っています。

今回、京都市の歴史的建造物をフックとし、伝統産業や暮らしの文化に触れる文化観光コンテンツの開発に取り組みました。具体的には、歴史的建造物を活用したお茶席やワークショップや体験型イベントを実施し、参加者が伝統産業や京都の暮らしの文化を実際に体験できる機会を提供しました。

イベントを通して、学生や観光客に、将来的な寄付や伝統工芸品の購入を促進し、歴史的建造物や伝統文化の継承に寄与する行動に繋げてもらうことを目的としています。さらに、国内外の旅行者に向け、京都の歴史的・文化的価値を伝える仕組みを構築し、京町家の付加価値を最大限に生かすことで、京都のディープな歴史文化を伝える場を提供することを狙いとしました。

実証事業では、歴史ある京町家を会場として使用するため所有者との交渉が必要となりましたが、京都市の協力のもと実現しました。また、京都市公式SNSによる発信など集客支援にも大変感謝しています。

今後も、京都の強みを生かしながら、サステナブルな取り組みを通じて、お客様に価値ある商品を提供していきます。

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