全国の急速充電データを活用した市内充電インフラ整備計画モデル
- 募集課題
- 誰もが、いつでも、どこでも必要な充電サービスを受けることができる電気自動車(EV)利用環境の整備
- 担当課
- 京都市環境政策局地球温暖化対策室
- 採用企業等
- ニチコン株式会社西日本支店
京都市環境政策局地球温暖化対策室は、京都議定書、IPCC京都ガイドライン採択の地として、『誰もが、いつでも、どこでも必要な充電サービスを受けることができるEV利用環境』の実現を目指しています。
脱炭素社会の実現のためには、化石燃料による自動車に依存しない生活や社会・経済活動に転換していかなければなりません。また、今後の急速なEV普及を見据え、EVの充電インフラを拡充していく等、市域のEV利用環境の整備促進を図る必要があります。
しかし、市内の充電設備の設置数は、近年、機器の老朽化や採算等の課題により撤去されるものがあり、伸び悩んでいるのが現状です。その一方で、民間企業において公共用充電設備の充電ネットワーク整備に向けた動きが進んでいます。
そこで、「誰もが、いつでも、どこでも必要な充電サービスを受けることができる電気自動車(EV)利用環境の整備」を解決したい課題に設定し、民間企業の技術やアイデアを募集したところ、ニチコン株式会社(所在地:京都市中京区、代表取締役社長:森克彦)からの解決策の提案があり、京都市として採択することを決定し、共にプロジェクトに取り組みました。
プロジェクトの概要
目的 | 京都議定書、IPCC京都ガイドライン採択の地として、「誰もが、いつでも、どこでも必要な充電サービスを受けることができるEV利用環境」の実現。 |
課題 | 駐車場ごとにEV充電設備の現在の利用状況や今後の需要の見込みを踏まえた利用者のニーズを把握したうえで、市内におけるEV充電ネットワークを充実・強化・重層化していきたい。 |
解決策 | 市営駐車場等を活用した実証機器の設置による充電設備のニーズ調査
や、市営駐車場等において、土地所有者が設置場所を提供し、民間事業者が充電設備を整備及び運用していくモデルの構築。 |
成果 | ● 現在設置されているEV充電器の利用率や設置時期等のデータを得られた。
● 利用率に基づき、黒字化できる可能性のある収益モデル(仮説)の打ち立て。 |
プロジェクトのタイムライン
企業が提供した技術やアイデア
全国の約1000施設に設置されているニチコン社製のEV急速充電器の利用実態データをもとに、以下の分析を行う。
- 全国の年度毎の施設用途別の急速充電設備の設置数・設置時期と補助金の関係を分析
- 全国の急速充電設備の充電量から採算性の高い施設の特徴を分析
- 全国の急速充電設備の充電量から今後の採算性の可能性を推測
京都市が提供したサポート
- 京都市の交通やEV等に関するデータ
※京都市内におけるEV充電設備の採算性を分析
※ディスカッションの様子
貴重なデータから黒字化できる収益モデル(仮説)が導けた
京都市環境政策局地球温暖化対策室:藤本・橋本
ニチコン社との連携により、現在京都市内に設置されているEV充電器の利用率や設置時期等のデータを得ることができ、黒字化できる可能性のある収益モデル(仮説)を立てるに至りました。分析を進める中で、EV充電器の利用率の向上や適切な料金単価の設定により、売上高及び利益率の改善が必要だということに気付けたことは大きな成果です。
本プロジェクトの知見や情報を他の営業活動に生かす
ニチコン株式会社
西日本支店 NECST営業部 営業一課 課長:今井康人さん
当社では2010年に「NECST(Nichicon Energy Control System Technology)プロジェクト(現NECST事業本部)」を発足し、家庭用蓄電システムやV2Hシステム、EV用急速充電器、公共・産業用蓄電システムなど、環境社会への貢献とビジネスの拡充に向けて、独自の新製品の開発や販売活動を進めています。
KYOTO CITY OPEN LABOに手を挙げた理由は、京都市内の適切な箇所に、適切な台数のEV充電設備を拡充するために当社の持つデータが役に立つと考えたからです。
この度の連携では、京都市の担当職員の方から様々な関連情報をいただき、多角的に分析を進めることができました。本プロジェクトから得られた知見や情報が営業活動にも生かされています。
今後はEV普及に伴い、急速充電器の需要が増えることは間違いないでしょう。引き続き、京都市内だけでなく全国からのニーズに応えられるように、EV急速充電器の普及を進めていきたいと思います。
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