ロジックモデルを活用したまちづくり活動の成果指標の確立と有用性の検証
- 募集課題
- まちづくり活動によって生まれる成果の評価及び可視化
- 担当課
- 京都市都市計画局まち再生・創造推進室
- 採用企業等
- 株式会社NTTデータ経営研究所
京都市都市計画局まち再生・創造推進室では、『市内の各地域で取り組まれているまちづくり活動の支援』を実施しています。
従来「まちづくり」とは、土地の区画整理や、道路・上下水道の整備などの都市計画等が主で、その担い手は行政が中心でした。しかし高度経済成長期を経て、居住環境をより良くし、地域の魅力や活力を高めていくといったことに市民の関心が高まっています。
京都市内でも、まちづくり団体等が自発的に組成され、市内のあちこちでまちづくり活動が活発に生まれています。しかしながら、その成果をこれまで公開することがなかったこともあり、これを可視化することについては苦慮しているのが現状です。
そこで、「まちづくり活動によって生まれる成果の可視化」を解決したい課題に設定し、民間企業の技術やアイデアを募集したところ、株式会社NTTデータ経営研究所(所在地:東京都千代田区、代表取締役:山口重樹)から下記のような解決策の提案があり、京都市として採択することを決定し、共にプロジェクトに取り組みました。
プロジェクトの概要
目的 | 市内のさまざまな地域で、まちづくり活動によって起こったまちの変化や取組成果の可視化がなされる。可視化されることで、取組主体のモチベーションの維持向上や、新たなステークホルダーの巻き込み、地域間の緩やかな競争などの効果が発揮され、市全体のまちづくり活動が活発になることの実現。 |
課題 | 成果の可視化に苦慮している。京都市として確立されたノウハウを有していない。 |
解決策 | 実際に何をどのようなデータから可視化したりコントロールするのが有効か、またその設計方法は確立されていないため、データ利活用を進めるのに有用な方法論を確立する。 |
成果 | ロジックモデルの作成方法を習得できた。実際にまちづくり活動に取り組む方々へのヒアリングを通じて可視化への意識がさらに高まり、実際にロジックモデルを活用することに対して興味を持った。 |
プロジェクトのタイムライン
企業が提供した技術やアイデア
- ある施策がその目的を達成するに至るまでの論理的な因果関係を明示した「ロジックモデル」の活用が、可視化に有用ではないかと仮説を構築
- 実際に市内でまちづくり活動を進めている2地域でロジックモデルのたたき台を作成
- まちづくり団体へのヒアリング等を実施し、ロジックモデルの有用性を検証
※ロジックモデル活用イメージ
京都市が提供したサポート
- 2地域のまちづくり活動に関する情報の提供
- まちづくり団体へのヒアリング機会
自らロジックモデルを活用して今後も活動の可視化をフォロー
京都市都市計画局まち再生・創造推進室:森田
本プロジェクトでの実証実験では、ロジックモデルの作成方法を修得することができました。また、実際にまちづくり活動に取り組む方々にヒアリングを行ったことで、改めて可視化への意識が高まり、実際にロジックモデルを活用することに対して興味を持てました。
まちづくりに関わる方々のニーズを把握してサービス開発に役立つ情報を得たい
株式会社NTTデータ経営研究所
地域未来デザインユニット シニアマネージャー:高橋拓朗さん
私たちは、ひと中心のまちづくりをテーマにコンサルティングを行っています。昨今、スマートシティなどの文脈でデータ利用に注目が集まっていますが、実際にまちづくりを行う人の思いが反映されるようなデータ利活用方法が確立されていないことに課題を感じていました。
京都市と連携したことで、2つのまちづくり団体の取組状況を把握できただけではなく、同じまちづくりに関わる異なる立場の方々からの意見も収集できました。この成果から、まちづくりの状況を可視化するにあたっては、数値化できない情報も含めた情報収集が有益なことが分かりました。また、関係者ごとに情報の活用方法が異なることなどを、ヒアリングを通じて把握できたのもメリットです。
まちづくりの可視化手法の普及展開に向けて
当初の目論見は、データを利用し、まちづくりの状況を可視化することでした。特にデータに主眼を置いて検討を進めていましたが、このプロジェクトを実施したことで、データ利用にあまりこだわらず関係者の合意形成・認識共有に注目した「まちの姿の可視化方法」の方がより有益であると認識するに至りました。
今後は、まちづくりに関わるステークホルダーが合意形成しやすくなるようなまちづくりの可視化手法を確立したいと考えています。さらに、その手法を普及展開していくことが目標です。
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