課題のポイント

実現したい未来

「旅行者が来れば来るほど、地域が良くなる」新たなツーリズムの仕組みの構築。従来とは異なる観光資源の発掘や新たな地域課題解決の実現につなげ、ポストコロナにおける持続可能な社会の構築を図りたい。

現状

SDGsやレジリエンスといった言葉の周知や理解を促すため、様々な媒体における情報発信やフォーラム、ワークショップの実施などの取組を行ってきた。

解決したい課題

市民や旅行者がSDGsやレジリエンスを身近に感じて実践につなげることができ、且つ、京都市の持続可能な観光や地域の課題解決にもつながるような体験を提供する仕組みの構築。

想定する解決策

市民や旅行者に対して、京都に息づく日々の暮らしや生活文化の中で持続可能性やレジリエンスを学んでもらい、改めて行動につながる気付きを促すプログラムの提案。

民間組織側の想定メリット

京都でSDGs・レジリエンスに取り組む地域や企業等との関係性の構築、他都市でも活用可能なSDGsツーリズムに関するビジネスモデルの構築など。

Story

写真:SDGsのカラーホイールが置かれたインタビューの場

2030年、2040年、2050年の理想の京都市を目指して

SDGs。この言葉を「聞いたことがない」という人は随分と減ったのではないでしょうか。持続可能な社会の構築のため、2015年に国連で採択された目標であり、多くの国や地域が賛同しています。SDGsの17の目標は、京都市基本計画と共通する点も多く、2030年までの達成に向けて、京都市も取組を進めています。

さらに京都市は、自然災害や人口減少をはじめとする様々な危機に、粘り強くしなやかに対応し、将来にわたって人々がいきいきとくらせる、魅力と活気に満ちた都市(=レジリエント・シティ)の実現を目指しています。どんな困難があっても、京都が京都であり続けるための、この取組期間の区切りとして2040年を設定しています。

また、2015年、パリで開催されたCOP21において、2050年に世界の温暖化ガスの排出を実質ゼロにすることで、国際的な合意形成がなされました。このパリ協定の下地とも言える、京都議定書の誕生の地である京都市は、率先してこの目標を共有し、2050年のゼロカーボンシティ達成を目指しています。

SDGs(2030年)、ゼロカーボンシティ(2050年)。これらの目標設定自体は京都市だけのものではありません。さまざまな都市が、取り組むべき課題です。そして京都市には、京都市なりの取り組み方として、レジリエント・シティ(2040年)があります。今回は、世界的な観光都市である京都市として、SDGs・レジリエンスツーリズムの仕組みづくりの模索を進めたいと考えています。

コロナ禍の今だからこそできること

コロナ禍以前を振り返ってみると、京都市はオーバーツーリズムによる問題に頭を悩ませてきました。観光客が集中することによる過度の混雑、マナー違反、散らばるごみ。地域住民の生活をおびやかすこれらの問題は、「多くの旅行客が来ることが、観光の理想的な状況でない」ということを私たちに突きつけました。

京都市の観光産業は新型コロナウイルスの感染拡大により、大打撃を受けました。インバウンド需要は激減し、国内の観光需要も厳しい状態が続いています。しかし、コロナ禍によって観光客が激減している今だからこそ、観光のありようを根本から見直すということができるのではないでしょうか。

地球環境に負荷を与える観光。地域住民の生活をおびやかす観光。旅行者にとってもその場限りの楽しさにとどまる観光——私たちは、このコロナ禍の状況を、これまでとは違う、新しいかたちの観光を模索する機会と捉えたいと考えています。今直面している危機を乗り越えた時、かつてのオーバーツーリズムの日常にただ戻すのでなく、よりよい観光のある日常に向かっていきたいのです。

未発掘のビジネスチャンスである「地域の問題」

SDGs・レジリエンスツーリズムでは、「旅行者が来れば来るほど、地域が良くなる」仕組みの構築を目指します。この仕組みの構築には、「地域の問題の可視化」が前提となります。

しかし、「問題の可視化」は、実は大変難しい作業です。とくに日々、現場で問題と向き合っていると、そこまで客観視することはなかなかできません。普段から持続可能性のことを考えていなければ、話し合いのテーマの中に、SDGsやレジリエンスの課題設定との共通項を見出し、ツーリズムのテーマとしての可能性を見出すことはできないでしょう。

「地域の問題」のなかには、「持続可能性の問題」を含んだものがあります。つまり「地域の問題」は、SDGs・レジリエンスツーリズムにおける魅力的なコンテンツになる可能性を持ち、それをうまく抽出することができれば、学びや気づきを促し、場合によってはそのままビジネスチャンスにもなりえるのです。今回の実証実験では、「地域の問題をSDGsやレジリエンスの観点から抽出する」段階と、「可視化された問題をツーリズムに組み込む」可能性を模索したいと考えています。

写真:話し込む職員

旅行者も地域も持続可能性に触れられる、学びの旅を京都で

旅行者の目的は、多くの場合、美しい景色を楽しむこと、おいしいものを食べること、めずらしい体験をすることであり、それらはともすれば一過性の経験に留まります。そこには「地域の問題」との接点は見つかりません。いったい、旅行者はどのように「地域の問題」にかかわることができるのでしょうか。

例えば亀岡市では、市の支援を受けて保津川遊船企業組合が企画した、「かめおか保津川エコna川下り」というツアーがあります。「保津川の川下り」は、たいへん著名で、年間を通じて30万もの観光客が訪れるコンテンツです。本来、峡谷の美しさを見せるはずの川下りですが、「かめおか保津川エコna川下り」では、あえて保津川の漂着ごみやプラスチックごみの現状を見せます。旅行者は、川下りを楽しみつつ、かつ「地域の問題」を自身の目でみることで、観光地の問題を「自分の問題」として持ち帰ることになります。また、地域の方々にとってもあらためて問題を意識するきっかけとなるでしょう。

楽しむ、味わうだけの旅行でなく、旅行者と地域がともに持続可能性やレジリエンスのヒントに出会う旅。世界の観光都市・京都だからこそ、この両立の難しいテーマにチャレンジする必要があると考えています。

写真:「じつは京都市はSDGs先進度NO.1」と書かれたポスターが壁に貼られている

募集概要

担当課

京都市総合企画局総合政策室(SDGs・レジリエンス戦略担当)

担当部署の事業の概要

SDGs及び京都市レジリエンス戦略の推進に関する事務

背景

地球温暖化の進行や新型コロナウイルス感染症の世界的な流行など、SDGsやレジリエンスの重要性が高まる中で、より一層これらの理念が重要となってきている。

実現したい未来

京都市は、SDGs・レジリエンスの理念を踏まえてあらゆる施策・事業を実施することで、2030年SDGsの達成、またその先の2040年レジリエント・シティの実現を目指している。
本件においては、「旅行者が来れば来るほど、地域が良くなる」新たなツーリズムの仕組みを構築することで、従来とは異なる観光資源の発掘や新たな地域課題解決の実現につなげるとともに、ポストコロナにおける持続可能な社会の構築を図りたい。

現状

SDGsやレジリエンスといった言葉の周知や理解を促すため、本市はこれまで様々な媒体における情報発信やフォーラム、ワークショップの実施などの取組を行ってきた。
令和3年度は、市民等が自ら理解し「行動する」ことを目的とした取組によって、日々の生活につなげられるような、より実践的なSDGs・レジリエンスの推進を図りたい。
また、特にコロナ禍で観光客が激減した今こそ、市民等によるマイクロツーリズムや、ポストコロナに向けた持続可能な観光の在り方を検討していく。

検討経緯・これまでに実施したことがある施策等

ツーリズムのスキーム検討に当たって、庁内の観光関係部署や事業者等にヒアリングを行った。

解決したい課題

市民や旅行者がSDGsやレジリエンスを身近に感じて実践につなげることができ、且つ、京都市の持続可能な観光や地域の課題解決にもつながるような体験を提供する仕組みの構築。

想定する解決策
  • 市民や旅行者に対して、幾多の困難な中でも長い間続いてきた京都に息づく日々の暮らしや生活文化の中で持続可能性やレジリエンスを学んでもらい、改めて行動につながる気付きを促すプログラムの提案
  • 地域課題とツーリズムとのマッチングによる新たな課題解決手法の提案
民間組織側の想定メリット
  • 京都でSDGs・レジリエンスに取り組む地域や企業等との関係性の構築
  • 他都市でも活用可能なSDGsツーリズムに関するビジネスモデルの構築
提案企業に求める専門性

SDGsやレジリエンスを正しく且つ楽しく伝えるためのプログラム・コンテンツ制作において独自性が高くユニークな企画提案のできる方、ツーリズムのためのプラットフォームやスキームの構築において対話や協働に係るノウハウを持っている方

提供可能なデータ・環境等

スケジュール感・主要なマイルストン

令和3年度内に制度設計及び実証事業の実施

事業実施にあたっての留意点、制約等

本ツーリズムは、京都市が毎年度の予算を投じて実施するものではなく、受益者負担や一定の収益を図ることにより自走化を目指せる仕組みを想定。

参考情報

今後の展開想定

まずは、推進主体となるプラットフォームの構築を図り、ツーリズムの対象とするスポットの絞り込み、実証実験を行い、その結果として課題や自走化に向けた仕組の検討を行う。合わせて、京都市内のSDGs・レジリエンスに係る取組や場所、企業等の事例を視覚化し、これからSDGs・レジリエンスに取り組む人たちにとって有用な情報を発信していく。

提案の提出期限 2021年8月2日〜9月2日

この課題の募集は終了しました

成立案件の一覧へ戻る

ビジネス拠点としての京都市の強み

01

歴史と文化に
彩られた
京都ブランド

02

イノベーションを
生み出す源泉

03

職住近接の
コンパクトシティ

04

ビジネス視点での
豊富な京都
ロケーション

05

良好なアクセス&
災害に強い街

06

充実した
企業立地支援制度

Kyo-Working|京ワーキング