京都ブランドを活かした竹製数珠アクセサリーの商品開発
- 募集課題
- 京都らしい竹林景観の保全
- 担当課
- 京都市産業観光局農林振興室
- 採用企業等
- 株式会社安田念珠店

京都市産業観光局農林振興室では、たけのこや竹材、竹炭、竹林空間などの活用を通して、京都市内の竹林を適切に管理し、美しい景観を維持することを目指しています。
しかし現在、京都市内の約4割以上の竹林が適切に管理されていないと推察され、景観の悪化が進んでいます。 これまで、市民参加型の竹林整備やたけのこや竹材を活用した商品開発などを行ってきましたが、十分な効果が得られない状況でした。
そこで京都市では、『「京都ブランド」を活かしつつ、竹林を持続的に整備できる体制を確保でき、京都市内の竹林の整備・活用が進む商品や取り組みの創出』を解決したい課題に設定し、民間企業の技術やアイデアを募集したところ、株式会社安田念珠店(所在地:京都市中京区、代表取締役:安田 容造)から下記のような解決策の提案があり、京都市として採用することを決定し、共にプロジェクトに取り組みました。
プロジェクトの概要
目的 | 竹林資源の継続的な活用により、京都市内の竹林の適正管理と、美しい景観が維持される社会の実現。 |
課題 | 京都市内の約4割以上の竹林が管理されていないと推察され、景観を損ねている。竹林整備や、商品開発を行ってきたが、現状に対して十分な効果をあげていない。 |
解決策 | 株式会社安田念珠店による竹を活かした数珠制作により、「京都ブランド」を活かしつつ、竹林を持続的に整備できる体制を確保し、京都市内の竹林の整備・活用を進める。 |
成果 | ・安田念珠店が荒廃放置竹林の整備や廃棄竹材の活用を推進するNPO法人から195枚の竹板製版を購入し、竹製数珠を製造。
・直営店で腕輪数珠「Cotubu Bamboo ブレス」の販売を開始し、海外も含めた観光客などに30連を売り上げ。 ・卸取引先である寺の売店に「竹8㎜腕輪」を提案、商品化が決定し、160連を受注。 |
プロジェクトのタイムライン
企業が提供した技術やアイデア
- 高精度な竹加工技術(丸玉加工・穴あけ加工対応)
- 一貫した品質管理による均一な形状・サイズの再現性
- 滑らかな手触りを実現する高度な仕上げ技術
- 数珠製造の専門ノウハウ(玉への糸通し・編み加工)
- 京都市内の有名観光寺院の売店や全国百貨店など販売先の確保


京都市が提供したサポート
- プレスリリース資料の市政記者への周知
- 竹板製版を提供するNPO法人へのつなぎ、コーディネート
竹林の保全・活用と商品販売のサイクルを今後も強化
京都市産業観光局農林振興室:三宅、圓山
株式会社 安田念珠店との連携により、伐採した竹を使用した竹製数珠を商品化し、間伐から加工、販売までのサイクルを作ることができました。
本プロジェクトでは竹の間伐、製材、乾燥、油抜きを行った竹板製版を安田念珠店が購入し、腕輪数珠として製品化したものを販売する流れを確立しました。このサイクルの実現により、竹林資源の持続的な活用が促進されるとともに、竹の加工・製造・販売に関わる雇用創出にもつながっています。
具体的な成果として、NPO法人から合計195枚の竹板製版を購入し、直営店で腕輪数珠「Cotubu Bamboo ブレス」の販売を開始しました。国内外の観光客に向けて販売し、すでに30連の売上を達成しています。また、卸取引先である寺院の売店に「竹8㎜腕輪」を提案し商品化が決定しました。160連の受注が確定するなど、販路拡大にもつながっています。
この取り組みを通じて、「京都ブランド」を活かした高付加価値商品の開発・販売を実現 しました。また、竹林の伐採・製材による雇用創出や、放置竹林問題の認知拡大にも貢献しています。
今後は、竹林の保全・活用と商品販売のサイクルを継続し、持続可能な竹資源の利用をさらに促進していきます。また、京都市内外への認知拡大を進め、放置竹林問題の解決に向けた長期的な取り組みを推進してまいります。
「京都産竹の念珠」としてのブランド確立 、連携により認知拡大
株式会社 安田念珠店:村井さん
当社は江戸中期に創業し、特に品質にこだわり、厳選した材料を使い熟練した職人による手作業で高品質な数珠を製造しています。今回、取引先の寺院より放置竹林の課題を伺い、竹資源の有効活用と伝統工芸の融合を目的に、京都市と連携して竹念珠の開発に取り組むこととなりました。
京都市の竹は、滑らかで硬く、軽量である という特性を持ち、数珠の素材として極めて適しています。本プロジェクトでは、竹の美しさを最大限に引き出し、幅広い層に受け入れられるデザインの実現 を重視しました。
特に、「京都の竹」というブランド価値を高めるため、当社の玉加工・穴あけ技術を結集し、「京都産竹の念珠」としてのブランド確立を目指しました。京都らしい趣を持ちながらも、日常的に身につけやすい腕輪念珠(ブレスレット) という形で提案し、幅広い層への訴求を実現しました。
京都市との連携により、当社単独の取り組みでは難しかった認知拡大が実現し、ブランドの信頼性向上に繋がりました。自治体との連携実績により新たな商談機会の創出に結びついています。現在、京都市内の寺院での販売に加え、全国百貨店での京都展催事やポップアップショップへの出店を展開しており、販路の拡大を進めています。
本プロジェクトを通じ、他企業の取り組みを知る機会が増え、新たな商品開発のヒントを得ることができました。 また、助成金の活用により試作品の開発が可能となり、新たな商品の試行にも挑戦しています。
この取り組みが数珠つながりのようにより多くの人に広がっていくことを望んでおり、商品の認知拡大を図り、竹の美しさを再認識してもらえることを期待しています。海外も含めた観光客の方にも受け入れられているようですので、竹の美しさを世界に発信する機会として成長を目指します。今後も商品開発を継続し、竹資源の持続可能な活用と伝統技術の発展に貢献してまいります。
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