「心身の健康を支える地域密着型デジタルプラットフォーム」の開発と実証
- 募集課題
- 健康長寿のまち右京~デジタル技術で「気軽に」「楽しく」健康づくり~
- 担当課
- 京都市右京区役所保健センター 保健福祉部健康長寿推進課
- 採用企業等
- パナソニックホールディングス株式会社
京都市右京区役所保健福祉センター健康長寿推進課では、健康寿命の延伸のために、『すべての区民が住み慣れた地域でいきいきと自分らしく生活できるよう、人と人とのつながりの中で主体的に健康づくりに取り組む』ことを実現したい未来として掲げています。
地域の健康づくりの取組を充実、広げるために令和4年度には担い手がお互いの取組を報告し合う情報交換会を立ち上げましたが、年に1~2回の参集では担い手同士が自律的に繋がり、支援し合う関係づくりには至っていない現状です。
そこで、『健康長寿のまち右京~デジタル技術で「気軽に」「楽しく」健康づくり~』を解決したい課題に設定し、民間企業の技術やアイデアを募集したところ、パナソニックホールディングス株式会社(所在地:大阪府門真市、代表取締役:楠見 雄規)から下記のような解決策の提案があり、京都市として採択することを決定し、共にプロジェクトに取り組みました。
プロジェクトの概要
目的 | すべての区民が住み慣れた地域でいきいきと自分らしく生活できるよう、人と人とのつながりの中で主体的に健康づくりに取り組む社会の実現。 |
課題 | 健康づくりの取り組みを広げるためには、担い手を増やし継承する必要があるが、担い手同士が自律的に繋がり、協力、支援し合う関係づくりには至っていない。 |
解決策 | パナソニックホールディングス株式会社が制作するアプリにて、
・担い手同士が緩やかに繋がる。 ・担い手を通じて自身の属するグループに広がる。 ・地域情報を受信・発信することで、地域の人と互いに外出を促したり、コミュニケーション機能を通じて、緩やかに繋がる。 ・強力な担い手に依存しない役割を補い合う個人負荷の少ない新たな担い手モデルを構築することで担い手不足の一助となる。(例:地域情報を発信し外出を促す役割) |
成果 | 「アプリによって何ができるか」という初期反応は良い。
地域特派員を採用しアプリに地域情報を投稿したところ、コメントの反応があった。 自分や他のユーザーの歩数を意識して、「もう少し歩こう」という意欲につながっている。 |
プロジェクトのタイムライン
企業が提供した技術やアイデア
●地域のおすすめスポットをデジタル散策できるアプリサービス「つれづれめぐり」の開発
●現地説明員を派遣し、アプリ導入や利用促進を行う。
●アプリ内に地域情報等のコンテンツを制作
※アプリの説明書
京都市が提供したサポート
- 健康づくりの担い手を対象にアプリ体験会を実施。
- 健康づくりの担い手を対象とした情報交換会でオープンラボの取組説明や、パナソニックから実証実験の経過報告、アプリ体験者の感想を発表する場を提供。
- 地域のサークルに出向き、実現したい未来の説明やアプリ体験の協力依頼を行う。
- アプリスタンプが押せる場所の確保。
- 右京区の記念誌や地域情報などの提供。
アプリを通した健康増進・コミュニケーション発生に期待
京都市右京区役所保健福祉センター健康長寿推進課:森川
本プロジェクトの実証実験によって、健康づくりの担い手の方に、デジタル技術に対しても積極的に興味を持っていただくことができました。歩くモチベーションにつながるスタンプ機能や、地元店舗で使えるクーポンの発行を行い、外出機会の創出につなげています。
実際の利用者からは、「発信される他のユーザーの様子や地域情報が刺激となり、ウォーキングの動機付けになっている」との感想をいただいています。
地域で健康づくりをしている担い手の多くは70代以上であり、「スマホにアプリをインストールする」経験がほぼなく、アプリを使い始めるまでのハードルが高いことが分かりました。インストールさえできれば、健康増進につながり、アプリを通してユーザー同士のコミュニケーションが生まれる可能性があると感じています。
地域の人と緩やかに繋がることから始めたい、地域の魅力を発信したい等、多様な方法で健康づくりの取組に参加できることで、役割を補い合う個人負荷の少ない新たな担い手モデルの構築となり、担い手不足の一助となればと思います。
今後は、アプリ内のどのようなコンテンツがユーザーの歩数増進につながるかを更に検証し、より歩きたくなるようなコンテンツを提供していきたいと思います。アプリを区民に波及させ、人と地域とのつながりの中で健康づくりに取り組むことで右京区の地域活性に繋がるようにしていきたいと思います。
実現性検証や課題抽出ができ、有意義なデータを獲得
パナソニックホールディングス株式会社 企画担当 飯田恵大さん
当社は、日常的な暮らしのニーズに対して、デジタルを介して地域とのつながり創出を支援しています。今回、京都市右京区役所保健センターと連携したことで、地域密着でしか成し得ない実証を行うことができ、大変有意義な共創だったと感じております。
コミュニティマネージャーやモニター市民に対して、区役所の方から意義説明や導入時のモニタ説明支援を行っていただいたことで、アプリへの信頼性が高まったと感じております。さらに、学区など生活圏にかかる地元情報や、アプリに入れる地域コンテンツの元ネタ提供など、地域ならではの情報も提供いただき、より暮らしに根付いた情報を取り入れることができたと思います。
実際の地域コミュニティにおいて、弊社が構想する仕組みの実現性検証や課題抽出ができ、今後の検討材料となりました。異なる地域コミュニティに属するさまざまなモニタのアプリ利用を通じて、定性・定量の両面で有意義なデータが獲得できています。検証結果分析において、地域特性などを踏まえたより深い考察ができたと思います。
地域コミュニティ内のデジタルとリアルの融合の可能性を検証
今回の実証によって、市民へのアプリ導入やデジタルを介した行動変容に関して、詳細な部分まで踏み込みながら実現性の有無を確認することができました。
次年度は、地域コミュニティマネージャーやモニタ市民起点の取組みとより連動した形態でのデジタル活用を目指し、地域コミュニティにおけるデジタルとリアルの融合の可能性を検証したいと考えております。
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