課題のポイント

実現したい未来

竹林資源の継続的な活用(たけのこや竹材、竹炭、または空間としての利用等)によって、京都市内の竹林が適正に管理され、美しい景観が維持される

現状

京都市内の約4割の竹林が管理されず景観を損ねている。地域のNPO法人による一般市民を巻き込んだ竹林整備や、企業との連携によるたけのこや竹材を使った商品開発を行ってきたが、現状に対して十分な効果をあげていない

解決したい課題

臨機に「京都ブランド」を活かしつつ、竹林を持続的に整備できる体制を確保でき、京都市内の竹林の整備・活用が進むような商品・取組を創出したい

想定する解決策

  • 竹材を一定金額で買い取り、「京都ブランド」を生かした付加価値の高い商品を企画、製造するとともに、その販路を確保する
  • 竹林を活用したイベントの企画・運営、竹林空間の新しい活用方法

民間組織側の想定メリット

  • 京都ブランドを生かすことにより、商品の付加価値が高まることが期待できる
  • 地域の持続性(SDGs、サステナビリティ)に着目した取組として、商品のストーリー作り、ブランドイメージ作りが可能である
  • 本市との連携事業として、PR可能である
  • 竹材、竹チップ等を提供する地域法人等との関係が構築される

Story

太い竹がうっそうと生い茂った竹林のようす

放置竹林という問題

「京都の竹林」といえば、嵐山の竹林の小径を思い浮かべる方も多いことでしょう。明るく青々とした竹林のなかにある、竹垣に挟まれた小道は、四季を通して、さまざまな表情を見せてくれます。しかし、実際には京都でも、そのような美しい竹林はほんの一握りでしかありません。その多くが荒れ果てた「放置竹林」として、むしろ京都の景観を損ねてしまっているのが現状です。

京都市内には約660haの竹林が存在しています。かつては美味しいたけのこや竹材を生み出す場として手入れされていたそれらの竹林も、今では農家のリタイアや竹材の需要減から、全体の4割が人の手の入っていない放置竹林になっていると言われています。

竹はたいへん成長が早い植物で、孟宗竹では数箇月で高さ20メートルに達します。ほんの2~3年放置しただけで、竹林は真っ暗でうっそうとした状態になり、10年もすると人が立ち入ることすら難しくなります。また、地下茎でどんどん領域を拡げるため、他の植物の成長を阻害し、周辺の宅地や道路等にも侵食していってしまいます。そうして手のつけられなくなってしまった竹林を元の状態に戻すのは、たいへん困難です。

健全な竹林を維持管理するためには、所有者が整備を行うことが望ましいのですが、収益にならない竹林に手間をかけることには難しさがあります。竹林の伐採や整備のための行政の助成金等もありますが、「最長3年まで」など年限があるものが多く、それだけで続けていけるわけではありません。継続的な竹林の整備のために、継続的な竹林からの収益が求められているのです。

NPOによる放置竹林対策

市内でもとりわけ竹林の多い西京区大原野地域では、NPOによる取組が進められています。地域の竹林のほとんどが私有地であり、京都市のような行政が介入しづらいのが実情である中、2009年に発足した「NPO法人 京都発・竹・流域環境ネット」は、地域に密着し、竹林の所有者と関係を構築することで、放置竹林の問題の解決を図っています。

NPOでは、新たなたけのこ農家を育成したり、竹材を使う企業と竹林の所有者を繋げることで、放置竹林を減らしてきました。継続的に農家の手が入り、企業が関わることで、竹林の管理も行われることになります。活動の成果から10haほどの竹林の改善が行われましたが、解決までの道のりはまだまだ遠いと言わざるを得ません。

インタビューを受ける担当者

竹の有効利用の難しさ

放置竹林は、京都だけでなく全国的な問題ですが、放置竹林を抜本的に解決するような画期的なアイデアはまだ出ていません。竹は成長が早い反面、内部が空洞なので、利用できる部分が一般にイメージされているよりあまりありません。また、大規模な需要が未発達の現状では、コストメリットもあまり見出せません。竹林の所有者のほとんどが個人であることも、ビジネスの分野にとっては参入障壁になっています。

「竹ビジネス」の難しさは、素材そのものの難しさもありますが、製造、加工、販売のいずれの分野においても、竹についての情報や体制が不足していることが理由として考えられます。竹材の性質や「京都の竹」の優位性など、調査の道もまだ半ばです。

大量消費かブランディングか。竹林資源の活用の道を探るために

今回のオープンラボでは、できるだけたくさんの竹を有効利用できる方法を広く求めます。また、竹素材の商品開発や、竹林の空間利用等のアイデアに加えて、「竹ビジネス」の難しさを解消してくれるような、ブランディングや販路の確保などの仕組みづくりも歓迎します。京都市の竹林の保全と景観維持のため、皆様のお知恵をお貸しください。

適切に管理され陽の光が差し込む明るい竹林のようす

募集概要

担当課

京都市産業観光局農林振興室農林企画課

担当部署の事業の概要

農林業施策の調査・企画・推進、農林業の経営改善支援、農林産物の需要拡大等の支援

背景

「山紫水明の都」の名に相応しい景観の保全

実現したい未来

竹林資源の継続的な活用(たけのこや竹材、竹炭、または空間としての利用等)によって、京都市内の竹林が適正に管理され、美しい景観が維持される。

現状

京都市内には約660haの竹林が存在するが、たけのこ農家のリタイアや、竹材の需要減などから、今ではその約4割が管理されずうっそうとなっており、景観を損ねている。一旦、放置されてしまった竹林を元に戻すのは大変な重労働であることから、放置された竹林は増える一方である。
竹林が多い西京区大原野地域ではNPO法人が組織され、一般市民を巻き込んで竹林整備に取り組んでおり、一定の成果(約10haの竹林を管理)が得られている。しかし、NPO法人1組織で整備できる面積には限界があり、さらに取組を広げるため、竹チップ・竹炭の販売や、企業との連携でたけのこや竹材を使った数々の商品開発を行ってきたが、竹林資源の十分な活用や商品の生産・販売拡大には至っていない。

検討経緯・これまでに実施したことがある施策等
  • H28~R1:NPO法人による放置竹林の解消とたけのこ畑の再生活動
  • R2~R3:竹林内でのビジネスモデルの実証
  • R3~:本市関係部局が連携し、あらゆる方面から改善策を検討中

<商品化例>たけのこカレー、竹炭そうめんなど

解決したい課題

臨機に「京都ブランド」を活かしつつ、竹林を持続的に整備できる体制を確保でき、京都市内の竹林の整備・活用が進むような商品・取組を創出したい。

想定する解決策

【具体的な活用方法等のイメージ】

  • 竹材(竹チップ、竹炭等を含む)を一定金額で買い取り、「京都ブランド」を生かした付加価値の高い商品を企画、製造するとともに、その販路を確保する。
    (具体的な商品イメージ)
    •  竹チップを活用した繊維・プラスチック等の新素材、及びその素材を活用した商品の開発 
    •  京都の竹ブランドを活かした工芸品
    •  竹炭を土壌改良材として活用し、サステナブルな農産物の栽培 等
  • 竹林を活用したイベントの企画・運営、竹林空間の新しい活用方法
民間組織側の想定メリット
  • 京都ブランドを生かすことにより、商品の付加価値が高まることが期待できること。
  • 地域の持続性(SDGs、 サステナビリティ)に着目した取組として、商品のストーリー作り、ブランドイメージ作りが可能であること。
  • 本市との連携事業として、PR可能であること。
  • 竹材、竹チップ等を提供する地域法人等との関係が構築されること。
提案企業に求める専門性

商品の販路開拓力、商品開発力

提供可能なデータ・環境等

竹材、竹チップ等を供給するNPO法人等との調整を市が行う。
市とNPO法人等と協力して、商品のブランドストーリー作りをサポートする。

スケジュール感・主要なマイルストン

令和6年度中に着手したい。

事業実施にあたっての留意点、制約等

商品の製造や販売は、京都市が毎年度の予算を投じて実施するものではなく、事業者による自走化を目指せる仕組みを想定している。

参考情報

「京都市木の文化・森林政策推進本部」のウェブサイト
大原野を中心に活動しているNPO法人のウェブサイト

今後の展開想定

京都ブランド商品として自走化させ、持続的な竹林整備につなげる。

提案の提出期限 2022年10月7日〜2025年3月31日

この課題は成立案件ですが、引き続き提案を募集しています

募集要項

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ビジネス拠点としての京都市の強み

01

伝統と革新から
生まれた
京都ブランド

02

人材の宝庫・
知の集積地

03

自然が近い
コンパクトシティ

04

ビジネス視点での
豊富な京都
ロケーション

05

良好なアクセス&
災害に強い街

06

企業立地を
トータルサポート

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